意外と知らない狂犬病のこと

はじめに

狂犬病の集合注射が新型コロナウイルスの感染拡大防止のために今年も中止になりました。当院でも狂犬病ワクチンを用意しておりますので今年度もしっかり接種しましょう。
ところで、タイトルにもあるように皆さん狂犬病という病気そのものについてご存知でしょうか?ワクチンを年に一回わんちゃんに接種させる義務が法律により定められている事は多くの方が知っておられると思いますが、なぜ狂犬病だけ義務化されているのでしょうか?それは、狂犬病はわんちゃん達だけでなく私たち人間にも大きく関わる問題であるからです。大切なわんちゃんを守るため、自分の身を守るために知識をつけましょう。

狂犬病はどのような病気か

狂犬病は全ての哺乳類が感染し発症すれば100%死に至る病気です。ワクチンによって予防することはできますが治療はできません。感染した動物の唾液にウイルスが含まれるため、咬まれたり傷口を舐められたりすることなどによって感染します。発症までの時間は咬まれた場所や感染経路によって大きな違いがあり短くて数週間、長くて一年以上と言われています。
症状は発熱・食欲不振・倦怠感に始まり、咬まれた場所に異常感覚が起こります。進行していくと麻痺・けいれん・幻覚・恐水症(水を飲むと喉がけいれんし水を怖がるようになる)・恐風症(風に当たるとけいれんを起こす)などの神経症状が現れ、最後には昏睡・呼吸麻痺によって死亡してしまいます。実際に世界では毎年5万人以上の方が狂犬病で死亡しており、その半数以上がアジアでの発症です。現在の日本は狂犬病の存在しない清浄国であり、「国内での感染・発症」は1957年の猫を最後にそれ以降は報告されていません。しかし「海外で感染し日本国内で発症」するという事例は近年も発生しています。

狂犬病はすぐ隣の国にも存在し、いつ日本にウイルスが入ってきてもおかしくはないのです。

ワクチン接種率の現状

厚生労働省によると平成30年度の全国の狂犬病ワクチン接種率は71%大阪は61% で年々低くなってきています。ただしこれはきちんと登録されたわんちゃんの接種率であり、未登録のわんちゃんを含めると接種率はさらに下がる可能性があります。

シャルル・ニコルの法則によると「ワクチン接種率が75%を超えている地域では感染症の流行を予防できる」と言われていますが、現在の日本はそれを下回るため、もしも狂犬病が日本に再び戻ってきたときに流行を抑えるのは難しい かもしれません。かつて日本で狂犬病が蔓延していたとき、人への主な感染源はわんちゃんでした。なので、ワクチン接種率をもっと上げ、もしもの時わんちゃんの中での流行を防ぐことはわんちゃんだけでなく私たちの 安全を守ることにも繋がるのです。

まとめ

狂犬病についてご理解していただけたでしょうか?実はイギリスや台湾も日本と同じく長い間狂犬病清浄国だったのですが、数年前に狂犬病に感染した野生動物が確認されてしまいました。グローバル化の進む中、目に見えないウイルスの侵入を完全に防ぐことが難しいというのは新型コロナウイルスで痛感しましたね。日本 が狂犬病清浄国であり続けるため、大切なわんちゃんや自分自身を守るためにワクチン接種をしっかり行いましょう!
病気や年齢などでワクチン接種に不安がある場合は院長にご相談ください!